細胞不死化としての酵素

テロメアは健康寿命のカギを握っている一つの要素です。

しかし、人の寿命はだいたい決まっているので、テロメアを良い状態で長く維持していれば永遠に寿命が延びるわけでは有りません。ただ、多くの研究データが示してきたようにテロメアが長い人の方が若々しく、従って長生きをする傾向があることは間違いのない事実です。

では、どうやってテロメアを健康で長い状態に保つことが出来るのでしょうか。ここでテロメラーゼの登場です。テロメアの分析をした同じノーベル賞学者の発見したテロメラーゼという酵素の一種がテロメアを補助し長さを増やす役目をしています。

従って、テロメラーゼを増やせばテロメアが増加し健康で長い人生が期待できることは自然に考えられます。

基本的には当然の帰結ですが、人工的にテロメラーゼを増加させることは返ってマイナスであることも指摘されています。テロメラーゼが少なすぎればテロメアが短くなり多くのがん特に消化器がん(すい臓がんなど)の発症リスクは上昇しますが、逆にテロメラーゼを人工的に増加させると発症のリスクが上昇する腫瘍(脳腫瘍、肺がん、黒色腫)の存在も指摘されています。 健康な長寿を全うするにはテロメアとどう付き合っていけばよいのでしょうか。